2025年の自民党総裁選が近づく中、政治予測の世界でもAIの活用が本格化しています。しかし、複数のAIが出した予測は驚くべきことに真っ二つに割れました。この記事では、各AIの分析から見えてきた、選挙の行方を左右する「3つのカギ」を分かりやすく解説します。
1. AIの予測は「高市有利」でも真っ二つ。本当の戦場は「決選投票」にあった
今回の総裁選予測では、Grok、ChatGPT、Monicaといった複数のAIが「高市早苗氏の勝利」を予測する一方で、Copilotは「小泉進次郎氏が有利」との見方を示しました。
一見矛盾しているように見えるこの結果は、実は自民党総裁選の「二段階の投票プロセス」という核心を浮き彫りにしています。
高市氏の強みは、世論調査でもトップを走ることが多いように、幅広い党員からの支持(党員票)にあります。Grok、ChatGPT、Monicaの分析は、この党員票での優位性を重視した結果と言えるでしょう。
一方、小泉氏の勝利シナリオは、第1回投票で誰も過半数を獲得できず、国会議員だけで投票が行われる「決選投票」にもつれ込んだ場合に浮上します。Copilotの分析は、この議員票の獲得競争において小泉氏が優位に立つ可能性を指摘しているのです。
しかし、他のAIはこの見方に異を唱えます。Copilotが決選投票を小泉氏有利と見るのに対し、ChatGPTは真逆の結論に達しており、議員票の行方が極めて不透明であることを示唆しています。
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2. 推薦人の「数」より「質」。支持基盤の違いが鮮明に
総裁選に立候補するために必要な20名の推薦人。AIの分析によれば、この推薦人の顔ぶれを分析すると「数より質」が重要であり、各候補の真の支持基盤が見えてきます。特に二強と目される高市氏と小泉氏では、その違いが鮮明です。
高市早苗氏:保守連合による強固な基盤
高市氏の支持基盤は「保守連合」と表現できます。Grokの分析によると、推薦人の内訳は麻生派と旧安倍派がそれぞれ35%を占めており、両派からの強力なダブルサポートを受けていることが分かります。これは、伝統的な保守層の票を固めている証拠です。
小泉進次郎氏:派閥横断的な新世代の結集
対する小泉氏の支持基盤は「派閥横断的で新世代中心」です。推薦人の内訳は無派閥が40%で最多となっており、若手や女性議員が名を連ねています。これは、特定の派閥に依存せず、より広く多様な層から支持を集めようとする戦略を反映しています。
この違いは、高市氏が伝統的な保守票を固めて議員票を狙う一方、小泉氏は党内の新しい流れを掴み、幅広い支持を築こうとしている選挙戦の構図を象徴しています。
3. なぜ二強対決に?他候補の「弱点」が浮き彫りにした選挙の構図
AIによる分析は、なぜこの選挙が高市氏と小泉氏の二強対決と見なされているのかも明らかにしています。それは、他の有力候補がそれぞれ抱える「弱点」が明確に指摘されているからです。
- 林芳正氏: 外交・経済の経験は豊富ですが、党員からの支持基盤が弱く、地方票の伸びに不安がある点が課題です。
- 茂木敏充氏: 党運営の経験は豊富ですが、支持が自身の旧派閥に偏りすぎており、新しいリーダーとしての刷新感に欠けると見られています。
- 小林鷹之氏: フレッシュなイメージはありますが、現時点では知名度と実績が不足している点が大きなハードルとなっています。
これらの弱点が、結果的に高市氏と小泉氏への注目の集中を招き、二強対決の構図をより鮮明にしているのです。
まとめ
AIによる総裁選の予測は、単なる勝ち負けだけでなく、選挙戦の裏側にある複雑な力学をデータに基づいて解き明かしてくれます。党員票で優位に立つ高市氏と、決選投票での逆転を狙う小泉氏。その構図は、推薦人の顔ぶれや他候補の課題によって、より一層くっきりと浮かび上がってきました。
最終的に、保守回帰を求める党員の声が勝敗を決するのか。それとも、決選投票に持ち込まれた場合、国会議員の一票が新世代のリーダーを誕生させるのか。投開票の瞬間まで目が離せません。