制度概要
2025年3月24日から、運転免許証とマイナンバーカードを一体化する新しい制度が全国で開始されました。この制度では、マイナンバーカードのICチップに運転免許証の情報を記録することで、1枚のカードで両方の機能を利用できる「マイナ免許証」を取得できるようになります。
重要なポイントとして、この一体化は任意の制度であり、義務ではありません。運転者は以下の3つの選択肢から自由に選ぶことができます。
選べる3つのパターン
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従来の運転免許証のみを保有する
これまで通りの運転免許証を使用し、一体化は行わない方法です。更新手続きも従来通りに行えます。 -
マイナ免許証のみを保有する
運転免許証の情報をマイナンバーカードに統合し、従来の運転免許証は返納します。カードを1枚にまとめることができます。 -
マイナ免許証と従来の運転免許証の両方を保有する
マイナンバーカードに免許情報を記録しつつ、従来の運転免許証も手元に残しておく方法です。
必要な準備と手続き
事前に必要なもの
マイナ免許証への切り替えを希望する場合、以下のものを準備してください。
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マイナンバーカード
顔写真付きの有効なマイナンバーカードが必須です。まだ取得していない方は、事前に申請が必要です(申請から受取まで約1か月程度かかります)。 -
現在の運転免許証
原本を持参する必要があります。 -
署名用電子証明書の暗証番号
マイナポータルとの連携手続きを行う場合、市区町村窓口で設定した6〜16桁の英数字による暗証番号が必要になります。 -
視力検査に必要なもの
メガネやコンタクトレンズなど、日常的に使用しているものを持参してください。 -
手数料
現金またはクレジットカードで支払います。手数料は選択するパターンによって異なります(後述)。
手続きができる場所
運転免許センターや一部の警察署で手続きが可能です。詳細な対応状況については、各都道府県警察のホームページで事前に確認することをおすすめします。
手続きには事前予約が必要な場合が多いため、予約システムの利用方法も併せて確認しておきましょう。
マイナ免許証の特徴
記録される情報
マイナ免許証では、マイナンバーカードのICチップに以下の情報が記録されます:
- 運転免許証の番号
- 免許の取得年月日と有効期限
- 免許の種類(普通、大型など)
- 免許の条件(AT限定、眼鏡等使用など)
- 顔写真
カード券面の表示について
マイナンバーカードの券面には、運転免許に関する情報は一切記載されません。免許情報はすべてICチップ内に記録されています。
免許情報の確認方法
マイナ免許証に記録された情報は、以下の方法で確認できます:
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マイナポータルにログインして確認
事前に署名用電子証明書を警察に提出し、マイナポータルとの連携手続きを行う必要があります。 -
専用のマイナ免許証読み取りアプリを使用
スマートフォンアプリで情報を確認できます。
メリット
1. 携帯するカードが減る
マイナンバーカードを健康保険証とも紐付ければ、1枚のカードで身分証明書、健康保険証、運転免許証として機能します。財布やカードケースをスッキリさせることができます。
2. 住所・氏名変更手続きのワンストップ化
従来は引っ越しや結婚などで住所や氏名が変わった場合、市区町村役場と警察署(または運転免許センター)の両方で手続きが必要でした。
マイナ免許証にすることで、本籍・住所・氏名・生年月日の変更があっても、市区町村への届出だけで完了し、警察への届出は不要になります(ただし、マイナ免許証のみを保有し、必要な手続きを事前に完了している場合に限ります)。
3. 更新時講習のオンライン受講が可能
優良運転者講習と一般運転者講習の対象者であれば、自宅などで都合の良い時間にスマートフォンやパソコンを使って講習を受講できるようになります。
ただし、オンライン講習受講後も、運転免許試験場や警察署などでの免許証更新手続き(視力検査など)は必ず必要です。
4. 手数料が安くなる場合がある
新規取得時や更新時の手数料は、選択するパターンによって異なります。
新規取得時の交付料(2025年3月24日以降):
- 運転免許証のみ:2,350円
- マイナ免許証のみ:1,550円(従来より500円安い)
- 両方取得:2,450円
更新時の手数料(例):
- 運転免許証のみ:従来通り
- マイナ免許証のみ:2,100円
- 両方保有:金額は選択により異なる
優良・一般運転者の場合、オンライン講習の受講料が200円になり、講習が簡略化されるメリットもあります。
注意点とデメリット
1. 有効期限の管理が別々
マイナンバーカードと運転免許証の有効期限は異なります。マイナンバーカードを更新しても、マイナ免許証が自動的に更新されるわけではありません。それぞれ別のタイミングで更新手続きが必要です。
ただし、2025年9月1日からは、マイナンバーカード更新時に新しいカードへ免許情報が自動的に引き継がれる運用が開始されました。
2. 紛失時の再発行に時間がかかる
従来の運転免許証は即日再発行が可能でしたが、マイナ免許証を紛失すると、マイナンバーカードと運転免許証を同時に失うことになります。
マイナンバーカードの再発行には通常1〜2か月程度かかります。その間、マイナ免許証のみを保有していた場合は運転ができません。
ただし、2024年12月から開始された「特急発行・交付制度」により、最短5日程度での再発行が可能になっています。
紛失時はマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に電話すれば、24時間365日、一時利用停止ができます。
3. スマートフォンでの利用制限
電子証明書を搭載したAndroidスマートフォンをマイナ免許証として用いることはできません。運転時や各種手続きの際には、必ず実物のマイナンバーカードを携帯する必要があります。
4. 海外での運転には注意
マイナ免許証のみでは、券面に免許情報が記載されていないため、海外で自動車等を運転することは控えてください。海外で運転する場合は、従来通り各国の規制に応じた方法(国際運転免許証の取得など)が必要です。
手続きのタイミング
マイナ免許証への切り替えは、運転免許証の更新時期以外でも行うことができます。ご自身の都合に合わせて、適切なタイミングで手続きを進めることが可能です。
まとめ
マイナンバーカードと運転免許証の一体化は、カードの枚数削減や手続きの簡素化といったメリットがある一方で、紛失時のリスクや有効期限管理の注意点もあります。
重要なことは、この制度は任意であるという点です。ご自身のライフスタイルやニーズに合わせて、最適な選択肢を選んでください。
詳細な手続き方法や必要書類は都道府県によって異なる場合があるため、手続き前に最寄りの運転免許試験場や警察署のホームページを確認するか、直接お問い合わせいただくことをおすすめします。