国が豊かになると出生率が低下する理由と少子化対策

国が豊かになると出生率が低下する理由

  1. 教育とキャリアの向上: 経済が発展すると、特に女性の教育水準が向上し、キャリアの選択肢が広がります。これにより、結婚や出産を遅らせる傾向が強まり、結果として出生率が低下します。
  2. 生活水準の向上: 豊かな国では、生活水準が向上し、子育てにかかる費用も増加します。これにより、家族が少ない子供を持つことを選ぶようになります。
  3. 都市化: 経済発展に伴い、都市化が進みます。都市部では住居費や生活費が高く、また、子供を育てるためのスペースも限られているため、出生率が低下します。
  4. 医療と健康の向上: 医療技術の進歩により、乳児死亡率が低下し、子供の生存率が高まります。その結果、少ない子供でも家族が満足するようになります。
  5. 社会的価値観の変化: 経済が発展すると、個人主義や自己実現を重視する価値観が広がり、結婚や子育てよりも個人のキャリアや趣味を優先する人が増えます。

これらの要因が組み合わさることで、国が豊かになると出生率が低下する傾向があります。

国連が推測する世界中で出生率が低下する原因 

国連の見解:出生率の低下の原因

  • 避妊知識の浸透
  • 女性の社会進出機会の増加
  • 子供の死亡率を下げる医療の向上

かつては、乳児死亡率が非常に高かったため、子供の数が多いほど、一部の子供が成人する可能性が高くなることが意味されていました。また、女性は出産と育児に制限されており、避妊ができないため、妊娠が増加し、場合によっては望まない妊娠が発生しました。

インド

2023年、インドの人口は約14億5000万人で、中国を抜いて世界で最も人口の多い国になリました。都市化、移民、労働市場の変化により、インドの強みである伝統的な家族支援が損なわれ、高齢者が取り残されています。
インドの出生率は2.0で1950年の5.7人から大幅に低下した。
インドでは急速な高齢化が進行しています。フランスやスウェーデンでは、高齢化人口が7%から14%に倍増するのにそれぞれ120年と80年かかりましたが、インドはわずか28年です。
南部の州の出生率は1.5で、スウェーデンと同程度ですが、一人当たりの所得は28分の1です。高齢化する人口のためにより高い年金や社会保障を支えることが難しくなっています。

アメリカ、ヨーロッパ、中国

ヨーロッパの出生率:フランスは1.68、ドイツは1.50、スウェーデンは1.45です。ヨーロッパをはじめ先進国では出生率が低下傾向にあります。
アメリカの出生率は1.67,中国は1.1です。

深刻な韓国・ギリシャの少子化

「非常に低い出生率」が続くと10年か20年後に人口が急速に減少します。1.8人という出生率は、管理可能ですが、1.6以下になると、「急速で手に負えない人口減少」を招くと言われています。
日本の出生率は、2023年は1.2で危険領域です。

韓国は、2023年出生率が0.8で最も低い値です。経済的な要因や社会的な価値観の変化、教育費や住宅費の高騰などが影響しています。

ギリシャの出生率は1.3に急落しました。これは1950年の半分です。経済的な要因や社会的な価値観の変化、若者の移民などが影響しています。

日本の少子化対策

2023年日本の出生率は、1.2です。
日本では次の少子化対策を行っています。

  1. 経済的支援: 子育て世帯への経済的支援を強化しています。例えば、児童手当の支給額を増額し、支給期間を高校生年代まで延長しています。また、多子世帯には追加の支援が行われています。
  2. 教育費の負担軽減: 高等教育の授業料減免や給付型奨学金の拡充を進めています。特に多子世帯や低所得世帯に対する支援が強化されています。

  3. 出産・育児支援: 出産育児一時金の増額や、低所得の妊婦への初回産科受診料の助成など、出産にかかる経済的負担を軽減する施策が実施されています。

  4. 住居支援: 子育て世帯向けの公営住宅や空き家の活用を進め、良質な住居を提供するための支援が行われています。

  5. 保育の質向上: 保育士の配置基準の改善や処遇改善に取り組み、保育の質を向上させる施策が進められています。

  6. 働き方改革: 短時間労働者への社会保険適用拡大や最低賃金の引き上げなど、働きやすい環境づくりが進められています。

グローバル化と少子化

グローバル化は、国境を越えた経済、文化、情報の交流が進む現象です。これにより、異なる文化や価値観が交わり、経済的な相互依存が深まります。
グローバル化は、女性の権利向上やジェンダー平等の推進にも影響を与えています。例えば、国際的な企業や組織がジェンダー平等を重視することで、女性の労働参加が促進されることがあります。

フェミニズムは、女性の権利と平等を求める運動です。フェミニズムは、教育や労働市場での平等、家庭内での役割分担の見直しなど、多岐にわたる課題に取り組んでいます。グローバル化により、フェミニズムの理念や運動が国際的に広がり、異なる文化圏でも女性の権利向上が進むことがあります。

フェミニズムは女性の権利向上を目指し、教育やキャリアの選択肢を広げます。これにより、結婚や出産を遅らせる傾向が強まり、結果として出生率が低下します。

少子化対策:高齢者の労働寿命引き上げ

先進国では、出生率の低下を逆転させることができないため、健康で活発な高齢化、つまり労働寿命を5〜7年延ばし、高齢者の生産性を向上させることに注力しています。

まとめ

世界的な出生率の低下について、先進国では人々にもっと子供を持つように促すことは無駄だと言われています。
理由として「女性の生活が男性の生活にますます近づくにつれて、ジェンダー格差の大幅に減少するので、出生率の低下が逆転する可能性は低い」からです。