感染を避けるための換気対策
換気対策が必要な理由
感染経路
感染経路は、3ルートあります。
飛沫が蒸発して飛沫核になります。結核や麻疹の飛沫核は空中に長時間浮遊して感染します。これが空気感染で、コロナウィルスは空気感染はしないと考えられています。
しかし、コロナウィルスの分析で飛沫核(マイクロ飛沫)は、空中で3時間程度生き残ることがわかり、短い間ですが空気感染します。
空気感染を防ぐための換気
換気を行い飛沫の濃度を小さくする
換気を行うことで飛沫、飛沫核の濃度を薄め、感染リスクを減らすことができます。
自然換気
窓のある環境では、可能であれば 2 方向の窓を同時に開け、1時間に10分程度が目安で、1回で10分換気するよりも2回に分けて5分ずつのほうが効果的です。
窓を開けても風が入りにくい場合の工夫(空気の入口を小さく、出口を大きく)
外の空気がどの窓からいつも部屋に入ってきているかは把握しているものの、少ししか空気が入ってきていないと感じるときには、空気が入ってくる窓を小さく開け、空気が外に出る側の窓を大きく開けると効率的な換気ができます。
空間に入ってくる空気の量と出ていく空気の量が同じ場合、空気の入口が小さいほうが勢いよく流れるという性質があります。空気の入口を小さく、出口を大きく開けることで、部屋の空気が攪拌され、室内のより広い範囲を換気することができます。
窓のない部屋
飲食店の個室などで窓がない部屋の場合は、まず、その部屋の周辺の天井にある換気口(排気)の位置を確認しましょう。部屋のドアを開けて、扇風機やサーキュレータなどを置いて部屋の外か中に空気が流れるようにしましょう。
学校は子どもが大勢集まっているので、窓開けを徹底しましょう。
住宅では換気がおろそかになりがちです。住宅に備え付けられているエアコンには換気機能がないうえに、冷房を効かせようと窓を閉めてしまいがちです。
換気しながら冷房することをお勧めします。
換気のときエアコンの電気代抑えるコツ
エアコンの消費電力をおさえながら換気するコツが2つあります。
(1)エアコンは電源を入れた時にもっとも消費電力が多くなるため、運転させたまま窓を開けること。
省エネの観点からは設定温度を日頃から27度~28度程度にしておくとよい。設定温度を低くするとそれだけ電力を消費する。換気中設定温度を高くすると部屋が暖まりすぎてしまい、エアコンに負荷がかかり、熱中症などの心配も出てきます。換気している最中を含め、設定温度を安定させることが、快適さを保ち、かつ消費電力の抑制にもつながります。
(2)家に帰ってきた時やオフィスに出勤した時など、エアコンをつける際は締め切っていた窓を開けて換気してからつけるのも消費電力を節約できます。
▽エアコンの風向きを上向きにして部屋全体を冷やす
▽フィルターをこまめに掃除する
▽室外機の周りに物を置かないようにして風通しをよくする。
医療施設の換気
医療施設では、医療従事者を保護するために、空気の流れを考えた換気計画を実行すべきです。空気は圧力の高い空間から低い空間へ流れるため、医療従事者のいる部屋は圧力が高くなるように設計することが大事です。例えば換気扇で空気を外へ送り出せば、その部屋の圧力は低くなります。逆に、換気扇で外の空気を送り込めば、その部屋の圧力は高くなります。
感染の疑いのある人の部屋は、窓を開けて外気を取り入れる自然換気などによって、その室内で換気を完結するのが望ましいでしょう。
換気経路(換気を⾏う際に空気の通る道筋)が独立している部屋で過ごすのが望ましいのですが、トイレや浴室、洗面所で機械を使って排気する第3種換気ではこれが難しくなります。
感染の疑いのある人とない人の生活ゾーンを分け、感染の疑いのある人は換気経路のできるだけ「風下側」の部屋で療養するといいでしょう。
店舗やオフィス、家庭用エアコンは空気を循環させるだけで、換気を行っていません。
そのため、ほとんどの店舗やオフィス、家庭のエアコンは、それだけでは換気ができません。
エアコンの「風」で飛沫流れ感染した例
中国・広州市の保健当局が、1月から2月にかけて新型コロナウイルスの感染が確認された、別々の3つの家族、合わせて10人の感染経路を調べたところ、全員が1月24日に、同じレストランで昼食をとっていたことがわかりました。レストランに窓はありませんでした。
真ん中のテーブルには、当時、中国で最も感染が広がっていた武漢市から前日にやってきた家族が座っていて、このうちの1人はこの日の昼食後に発症しました。
この1人から出た飛まつが風下に流れて、隣のテーブルの家族に感染し、さらに、強い空気の流れで壁に反射して最も風上のテーブルの家族にも感染が広がりました。
エアコン以外のやり方で、換気をする必要があります。
一般的な空気清浄機は、新型コロナウイルスに効果があるか不明です。自然換気と併用しましょう。
機械換気
オフィスビルでは、空調設備により換気されています。通常は省エネルギーを考えて換気されていますが、空調設備の外気取入量を増やして換気能力を上げて感染リスクを減らすことができます。
建築基準法に定められた換気量による風量及び、換気回数(部屋の空気が単位時間に入れ換わる回数)から必要換気量を確保しています。
1 時間あたりの空気の入れ替え回数 → 3回以上を目安とする。
機械換気設備を確認しましょう
①設置している換気設備を確認しましょう。
まず、設置している換気設備がどんなタイプで、リモコンや換気設備、換気口がどこにあるか、どんな風に換気されているかなど把握しましょう。
換気に使う壁や天井の換気口には必ずフィルターがついていますが、フィルターなどのお手入れをしておらず、換気能力が低下していても気がつかないことがあります。フィルターがつまると換気の効率が落ちますので、定期的に清掃をすることも大切なポイントです。(フィルターは機械の保護や屋外から虫が入らないようにするためについていますので、絶対に外して運転させないでください。)
また、換気設備のリモコンにも注意が必要です。換気設備のリモコンは、エアコンのリモコンと一体になっていることがあります。春や秋などの過ごしやすい季節には冷房・暖房だけでなく、換気も停止させてしまっていることがありますのでご確認ください。
小型店舗(飲食店)の換気口やフィルター汚れの事例
天井の換気口の汚れ
換気扇の汚れ
外壁の換気口の汚れ
リモコンやスイッチの種類
天井換気扇の場合
電源がONになっているか、確認しましょう。
①のように「全熱換気」(もしくは普通換気、自動換気)という文字が標記されている場合は、エアコンと換気のリモコンが共通になります。
ご注意)エアコンを切ると換気も止まってしまいます。
②春や秋などの中間期には運転切替画面から「換気」モードを選択して、電源をONにしてください。
■換気専用で操作するタイプ
電源がONになっているか、確認しましょう。換気量を増やしたい場合は、風量を切り替えてください。
なお、換気設備の操作・運転方法や掃除・お手入れで困ったら、必ず専門の業者に相談しましょう。
換気設備を使いながら、窓開け・ドア開けで換気する方法
窓を開けて換気するときの時間と回数の目安は、1時間に10分程度と言われています。
また、1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は大きくなります。
できるだけ、回数を多く換気をすると効果的です。
店舗の営業時間前や休憩時間なども有効に使って換気しましょう。
換気の基準
コロナ対策としての換気については、「どの程度の換気が十分であるかの確立したエビデンスはまだ十分にない」として、政府からの具体的な指標は、まだありません。
使っている部屋の機械換気能力を上げることができるかは、担当している技術者に相談してみましょう。
まとめ
部屋の換気を適切に行うことによって、飛沫核(マイクロ飛沫)の濃度を減らし空気感染を防ぐことができます。
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