目次
「イチケイのカラス」とは
型破りな裁判官と超堅物の女裁判官のリーガルコミック
フジ 月曜 21:00 4月5日~
原作:浅見理都
脚本:浜田秀哉
『絶対零度』『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』
「イチケイのカラス」キャスト
入間みちお 竹野内 豊
坂間千鶴 黒木 華
石倉文太 新田 真剣佑
井出伊織 山崎 育三郎
浜谷澪 桜井 ユキ
一ノ瀬糸子 水谷 果穂
川添博司 中村 梅雀
城島怜治 升 毅
日高亜紀 草刈 民代
駒沢義男 小日向 文世
「イチケイのカラス」第1話 あらすじ
入間みちお(竹野内豊)は、東京地方裁判所第3支部第1刑事部<通称:イチケイ>の刑事裁判官。中卒の元弁護士という異色の経歴を持つみちおは、ヒゲを生やし、お堅い裁判官のイメージとはほど遠い。先入観に一切とらわれない自由な観察眼と、徹底的に調べ上げる探求心をもつ。
みちおを見守っているのは、イチケイの部長で、有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判において30件あまりの無罪判決に関わっている伝説の裁判官・駒沢義男(小日向文世)。
イチケイに、若くして特例判事補になったエリート・坂間千鶴(黒木華)が赴任する。東大法学部出身の坂間は、冗談が全く通じない堅物。裁判官が的確かつ速やかに事件を処理することで日本の治安が維持されていると自負している。
坂間がイチケイに異動してきた目的は、事件の処理件数が信じられないほど少なく、会社なら倒産レベルの“赤字”状態であるイチケイを立て直すためだった。
駒沢は、坂間にみちおと組むよう指示する。みちおを裁判長に、坂間と駒沢の3人で審議する合議制で取り組むことになった起訴案件は、「大学生の長岡誠(萩原利久)が、代議士の江波和義(勝村政信)に全治1ヵ月のケガを負わせた傷害事件」だった。
誠は、江波の秘書だった洋一郎の息子。洋一郎は、2ヵ月前、不正献金疑惑で東京地検特捜部がマークし始めた矢先に、電車に飛び込んで自殺を図っていた。
裁判長のみちおは法廷の冒頭で自己紹介する。珍しいことだ。
被告の誠は江波の方から先に殴ってきたと証言し、父が踏切で轢かれたのは自殺ではないと主張した。
みちおは、傷害事件のもとになった洋一郎の死が自殺か事故かを確かめる必要があるとして、捜査権を発動し現場検証を行うと言い出す。千鶴は発動に反対するが、みちおは「負けた感じがする」と言う。
千鶴は赤字の原因はみちおだと言う。
現場検証:ランドセルの女の子が踏切で蹲っている。遮断機の故障を疑うが確証は得られない。みちおは千鶴と同じ宿舎に住んでいる。2回目の現場検証は必要ないと報告書を作り、階下のみちおの部屋に持っていくと、もう来る必要はないという。
2回目の現場検証にみちおは来ない。みちおは線路の反対側で叫ぶが聞こえない。
踏切の近くで再開発工事が始まっていた。事故の日の25日はいつもの倍の交通量で騒音が大きかったことが分かる。
自殺と断定した根拠の目撃証人に聞くことにする。
第2回公判に江波議員が証人となる。不正献金をうけとりクラブの女に貢いだという。目撃女性は二人の男性の一人が電車に飛び込んだという。検察は江波議員が誹謗中傷を受けたのとしてみちおに抗議する。
最高判事事務局の日高亜紀(草刈民代)がみちおが裁判長を降りろと言いに来る。みちおは千鶴に愛犬のみちこを紹介する。
千鶴は目撃女性は踏切にいた女の子の母で生活に困っていることを調べあげる。
所在尋問をしようとするが断られる。公園で出会い、娘が踏切で花を手向けていたことを知らせ、母娘が真実を言えない苦しみを見抜く。
第3回公判:死の真相がわかる。相馬真由美は真実を話した。自殺ではなく事故だった。娘が踏切で落とし物を拾っている所に電車が来て救おうした結果の事故だった。
嘘の証言をするように強要された。逆らえば工場の仕事を奪われるのを恐れたからだった。
江波は「嘘をついている」と大声で言う。検察は江波の不正献金疑惑を調査するという。
誠はみちおに「本当は江波を許せなくて自分から殴った。嘘をついていた」と謝る。
懲役1年6カ月執行猶予付きにする。
被告人は前を向いて生きていける。
裁判官は話をよく聞きまくって、悩みまくって決めること。
みちおは千鶴に「イチケイのカラス」になれという。「どういう意味?」
駒沢はかつて、みちおに「この国の司法を裁いて欲しい」と言って裁判官になるように誘っていた。
「イチケイのカラス」第2話 あらすじ
みちお(竹野内豊)たち地裁チームと、甲子園出場経験もある井出(山崎育三郎)を擁する地検チームによる、恒例の草野球試合が行われた。坂間(黒木華)は、2打席連続ランニングホームランの井出を迎えた投手のみちおに対し、敬遠すべきだと主張する。しかし、みちおは、0.1%でも可能性があるなら勝負がしたいと言い出す。
坂間は、最高裁判所判事で、司法研修所時代の上席教官でもある日高(草刈民代)から呼び出され、あるパーティーに出席する。そこで坂間は、最高裁事務総局の事務総長・香田健一郎を紹介される。健一郎は、坂間が東京地裁第3支部の立て直しを任されていることを承知しており、人事局でもみちおの存在が問題視されつつあることを彼女に告げる。それを受けて日高は、みちおの問題行動に対して処分が必要だと判断した場合は人事局にあげてほしい、と坂間に指示する。
イチケイの部長・駒沢(小日向文世)は、合議制で扱いたい案件があるとみちおたちに告げる。それは、1審で有罪判決が下された、人気料理研究家・深瀬瑤子(前田敦子)による幼児虐待事件だった。瑤子は、当時1歳半の長女が泣き止まないことに苛立ち、激しく揺さぶるなどしてケガを負わせたことにより、傷害罪で2年6ヵ月の有罪判決を受けていた。だが瑤子は判決を不服として控訴。それを受けて高裁は、審理内容を精査し、地裁に差し戻したのだ。しかし、実はこの案件、第1審の裁判長を事務総長・健一郎の息子・隆久が務めた“取り扱い要注意”案件だった。
第1回差し戻し公判
裁判長みちお。被告人は否認。
検察は泣き止まない子を揺すぶり、SBS兆候にさせたと言う。
法廷で揺さぶりの実験する。医者に証人尋問する。10人の専門医を呼ぶことにする。
公判後、隆久がみちおに間違えないようにと警告する。
第2回公判
医者が集まり、法廷内コンファレンスが行われ、SBS症状の3日前までの外傷の影響があると証言する。
みちおは被告人の夫に面会する。夫は託児所の女と付き合っていたと証言する。
千鶴はみちおの部屋を訪れ、公判の成り行きから出世の道を断たれると悲観を伝えるが、通じない。
千鶴は虐待か冤罪の間で悩む。被疑者ノートを読み千鶴は無罪を考える。
第3回公判
保育士を証人として呼ぶ。保育士はやっていないと叫ぶ。みちおは、全員に深呼吸させる。微熱があり医者に連れて行ったことを話す。足立医師が診断したが、公判尋問で証人した医師だった。足立は証人を拒否して病院に出向く。足立は裁判官と揉めていた。2人は高校の先輩と後輩だった。
みちおは日本代表で海外出張を命ぜられ、公判から外れる。
足立の所在尋問をするがベルリンに出張に出ていた。チームはマイクロバスで空港まで逮捕令状を持って追いかける。
交通渋滞で全員で走る。
第4回公判
隆久が証人尋問に立つ。みちおは裁判官は間違えることもある。
足立が証人尋問に立つ。子供が診察台から落ちたことを証言する。3人ご急性クモ膜下出血で運びこまれた。
SBSと誤診したと隆久に相談したが、はねつけられた。ベルリンにSBSの診断を聞きに行った。外傷が原因でSBSでなかった。
みちおは、即日の無罪判決をする。
涙を流す被告に対し近づいて頭を下げ誤審を謝る。
事務総長が来て息子の隆久を懲戒処分すると伝えに来る。
千鶴の上司・日高は過去の殺人事件公判でみちお、駒沢と確執があった。
「イチケイのカラス」第3話 あらすじ
「どうしたらなれるか、アインシュタインに」。ある日みちお(竹野内豊)は、坂間(黒木華)たちイチケイメンバーにそう質問する。ヒントは、裁判官にも大事なことだとみちおは言う。
起訴状を読んでいた部長の駒沢(小日向文世)は、合議制で扱いたい案件がある、とみちおたちに告げる。案件は重過失致死及び死体損壊の事件で、被告人はガラス工房で働く藤代省吾(岡田義徳)、被害者は市役所職員の野上哲司(成松修)だった。
その教室には野上の14歳になる娘・碧(渡邉心結)が通っていたが、迎えに来た碧の母で、笹原警察署の警察官でもある奈緒(佐津川愛美)に一方的に好意を抱いた藤代は、「野上哲司は浮気している」「夫と別れなければ罰を与える」等の監視や人格非難にあたる内容の手紙を差し出し人不明で送りつけていた。
それが藤代の仕業だと気づいた野上は、事件当夜、藤代と工房で会い、口論からつかみ合いになったという。藤代は工房にあった自転車に乗って逃げようとして野上と衝突。そのまま後ろに倒れた野上は、後頭部を強く打ち命を落としたらしい。犯行の露見を恐れた藤代は、野上の遺体を焼却炉で燃やしていた。
みちおが裁判長を務めた第1回公判、入廷してきた駒沢の姿を見た藤代は驚く。実は駒沢は、18年前に裁判長として藤代を裁いたことがあった。
駒沢とみちおは藤代の供述に不審を抱き、異例の捜査を開始する。
藤代と奈緒は、駒沢が担当した事件がきっかけで知り合っていた。二人は藤代の出所後に付き合い、碧を生んでいた。
藤代は警察官の奈緒の将来を考え、結婚せずに別れた。
奈緒は野上と結婚した。
奈緒は野上から日常的に家庭内暴力を受けていた。
事件の日、碧は殴られ、花瓶で野上の頭部を殴り死なせた。
碧は、電話で藤代に連絡すると、藤代は身代わりになると約束し、死体をガラス工房の焼却炉に運び燃やし、証拠を消した。
碧は殺人罪で逮捕される。藤代と奈緒は犯人隠ぺいで起訴される。
みちおは、板間に「アインシュタインに近ずくには疑うことことが一番大事なことだ」と言う。
「イチケイのカラス」第4話 あらすじ
みちお(竹野内豊)は、坂間(黒木華)を訪ねて裁判官官舎にやってきた彼女の妹・絵真(馬場ふみか)と出会う。絵真から、姉はどんな裁判官なのかと尋ねられたみちおは、裁判を傍聴してみてはどうかと言い出す。
絵真は、みちおと一緒に、坂間が裁判官を務めたいくつかの公判を傍聴する。
被告人は17歳の望月博人(田中偉登)。
半年前に高校を中退した博人は、レジャー施設でアルバイトスタッフとして働いていたが、あるとき売上金5000万円を盗んで逃亡。警察に逮捕されそうになった際には、繁華街のビルの非常階段から盗んだ現金をばらまいていた。
イチケイの部長・駒沢義男(小日向文世)は、家庭裁判所から逆送されてきたある少年事件を合議制で扱いたいと告げる。みちおは裁判長は坂間がいいのではないかと提案する。坂間も裁判長を決意する。
第1回公判。
博人は完全黙秘を貫く。みちおは坂間の心情を被告に説明する。被告は笑みを浮かべる。場を和ませることに成功した。
博人が育った児童養護施設に視察に行く。親友の未希、陸は高校を止めた理由を話す。
第2回公判。
未希はピアニストだったが、1年前遊園地のジェットコースターの事故でけがをして弾けなくなった。博人は遊園地に対して恨みを持っていた。
博人は「クソ。法律なんてクソだ」という。
坂間は職権を発動し、裁判所主導で再捜査すると宣言する。
遊園地の事故を再調査する。不慮の事故でなく裏があった。その時の弁護士はゲーム感覚で金のため偽装していた。博人は事故を調べるため遊園地でアルバイトをして、ジェットコースターのメンテが不十分であることを知っていた。
第3回公判。
坂間は、博人が5000万円強奪後、陸に会っていた証拠映像を見せる。しかし、博人は陸を庇い真実を隠す。
未希の左手は最先端医療で感知することが分かった。博人は5000万のうち手術費用を抜き取って陸に渡していた。未希は奨学金返済制度だと言われて渡されていたが、嘘だと気づいていた。
第4回公判(判決)。
主文:懲役3年、執行猶予3年。
陸は家庭裁判所。未希の手術は中止。
博人は暴れ出すと、坂間は壇を降りて「苦しみ憤りを受け止めます。自分の人生を切り開くことを心から願っています」と言う。
閉廷後、みちおは坂間の裁判を称える。坂間は一人で泣く。
駒沢は絵真にギリシャ神話のカラスは自由の象徴だと言う。
絵真はみちおと坂間のレストランでのデートを設定して消える。
「イチケイのカラス」第5話 あらすじ
みちお(竹野内豊)たちの元へ、あるバレエ団で起きた傷害事件の起訴状が届く。被告人は、バレエ団代表で振付師の槇原楓(黒沢あすか)。被害者はそのバレエ団の元トレーナーの矢口雅也(松木研也)だった。2人は口論からつかみ合いになり、槇原は矢口を突き飛ばした。頭を強く打った矢口は一命を取り止めたものの、現在も意識不明の重体だった。
その起訴状を見た石倉(新田真剣佑)は驚きを隠せなかった。このバレエ団には、海外からも注目されているバレリーナ・馬場恭子(生田絵梨花)が在籍していた。実は恭子は、石倉の中学・高校時代の同級生で、初恋の相手でもあった。
坂間(黒木華)が裁判長を務めた第1回公判。傍聴席には恭子だけでなく、何故か別の事件の公判を終えたばかりのみちおの姿もあった。冒頭陳述で、検察官の井出(山崎育三郎)は、トレーナーとしてバレエ団に在籍していた矢口が複数のダンサーに対してセクハラを行い、槇原に解雇されたことで一方的に恨みを抱いていたことなどを説明する。
『みちおを見守る会』の傍聴マニアから画用紙を借りたみちおが、「さっき、食い逃げの公判をやったんだよ。食い逃げとバレエ団、ふたつの裁判、ひとつにくっつけたいんだよ」と書いた紙を坂間に見せる。別々の事件であっても犯人が共通していたりする場合にまとめて審理する「併合審理」をしたいというのだ。坂間は、そんなみちおを退廷させる。
石倉は証言に立ち、「恭子は変形性股関節症で踊れる状態でなかった。公演できないと恩師のバレエ団が損害を受ける。荷物を降ろさせてください」と槇原に頼む。
槇原は、ケガをめぐって矢口からゆすられていた。矢口が恭子を襲ったとき、3人でもみあいとなり、階段から落ちたと証言する。
矢口は回復し、槇原、恭子は執行猶予の可能性が高くなった。
千鶴とみちおの恋愛関係を周囲は怪しむ。
日高が次期最高裁判所長・志摩に内定する。
みちおは元国税長官・志摩の家に空き巣が入り113万円盗まれた記事を読み、12年前の日高の公判を思い出す。
「イチケイのカラス」第6話 あらすじ
草野球の試合を終えたみちお(竹野内豊)たちは、相手の井出(山崎育三郎)ら地検チームと一緒に石倉(新田真剣佑)の実家『そば処いしくら』に集まって飲んでいた。
そこに、坂間(黒木華)が日高(草刈民代)を連れてやってくる。坂間は、女性裁判官の会に出席し、日高の最高裁長官内定のお祝いをしていた。
みちおは、志摩総一郎(羽場裕一)という男の名前を出し、彼が被害に遭った窃盗事件を担当することになったと日高に告げる。志摩は、弁護士時代のみちおが最後に担当した事件に関係する人物だった。
これからみちおが裁判長を務める窃盗事件は、前科6犯の窃盗犯・岸田(バカリズム)が、会計事務所所長の志摩の自宅に忍び込み、現金113万円を盗んだ事件だった。岸田は犯行後、盗んだ自転車で逃走を図ったが、その途中で新聞配達員と自転車同士の衝突事故を起こして顔を見られたため自首していた。
第1回公判
岸田は「エリート人生から転落して窃盗を繰り返した」という井出の言葉に反発し、泥棒がいかに魅力的な仕事であるか、どんな金庫も開けられる優れた耳を持つ自分がその個性を生かすためにいかに努力をしているかを力説し始める。
岸田は、金が余っている家しか狙わず、人は絶対に傷つけない、というポリシーがある。
第2回公判
みちおは、理路整然と話す岸田が、逃走時のことなるとあいまいな話をし始めることや、今回初めて自首してきたことが気になる。
新聞記者・真鍋は防犯カメラを調べ、襲われ妻子を残して亡くなる。
真鍋は志摩を調べていた。
12年前に無実の仁科を救えず、自殺させてしっまっていた。
日高が裁判長でみちおが志摩の証人尋問を要求したが拒否されていた。
真鍋の釣り船から手帳が見つかる。
みちおは職権を発動して裁判所主導で捜査を行う。
逃走経路周辺の防犯カメラを確認することにする。
岸田は重い荷物(20㎏)を持ち出していたのがカメラ画像から分かる。
小宮山検事が送検を早めていたことが分かる。検察は捜査協力を中止する。
第3回公判
岸田は自分の罪を認め、侵入窃盗で2年6カ月の懲役だと言う。
志摩が証人尋問に呼び出される。盗まれた模造品は知らないと答える。
12年前の事件で被告人と疑われたことを恨んでいる。
小宮山検事の録音は不見当だった。次長検事からの圧力だった。
真鍋の妻に所在尋問をする。真鍋は事件の前の日に釣りに行っていた。
岸田は2億円を盗み世田谷の用賀に潜伏していた。
警察より先に検察が突き止めていた。
第4回公判
小宮山と親しい弁護士・畠山が岸田と接触していた。
みちおは壇を降りて岸田に真鍋が亡くなったことを伝える。
岸田は2億円を盗んだと言った。1000万円で買収された。真鍋の妻に謝る。
真鍋のデータから志摩の会社の脱税情報が見つかった。2億円は企業からの見返りだった。志摩は逮捕される。
板間は12年前の事件を亡くなった仁科の妹に再審請求させようとする。
「イチケイのカラス」第7話 あらすじ
弁護士時代のみちお(竹野内豊)が最後に担当した12年前の東丸電気殺人事件。東丸電気の研究部主任だった被告人の仁科壮介(窪塚俊介)は、被害者である同社の経営戦略部部長・布施元治(中野剛)から研究部門の解体および製造部門への異動を命じられたことが原因で彼と度々トラブルを起こした挙句に撲殺した罪で、無期懲役を言い渡されていた。
仁科は、判決後も無罪を主張し続け、獄中で命を絶ってしまう。仁科は、事件現場から逃げていく男を目撃したと主張していた。その男こそ、イチケイが扱った窃盗事件の被害者で、国税庁OBの志摩総一郎(羽場裕一)だった。この窃盗事件がきっかけで、志摩が所長を務めるオメガ会計事務所が、東丸電気を含む大手企業数社の脱税に関与していた疑いが浮上していた。
坂間(黒木華)は、仁科の妹・由貴(臼田あさ美)を訪ね、再審請求をすれば12年前の事件の真相を明らかに出来ると説得するが、断られてしまう。そんな坂間と入れ違いで由貴を訪ねたのが、みちおの元同僚でもある弁護士・青山(板谷由夏)だった。ふたりの説得が功を奏し、再審請求を決意する由貴。
弁護人を務めることになった青山は、ただちに会見を開き、今回の再審請求について公開での審理を求めた。
再審を認める判決を受け、次長検事の中森(矢島健一)と検察官の小宮山(テイ龍進)は、期限の3日以内に「即時抗告申立書」を出すよう、城島(升毅)と井出(山崎育三郎)に命じる。しかし城島は左遷覚悟で申立書提出を拒否した。「開かずの扉」と言われる再審請求が通った。国税庁OBの脱税事件の再審請求の扉は今回も開かないものと思われていた。
第一回公判
みちおが裁判長となる。ドライブレコーダーの映像に志摩らしい人物があった。
真実を解明するため、みちおは職権を発動し裁判所主導で捜査を開始する。
志摩の妻に経営する洋品店で所在尋問する。夫婦関係は最悪だが、金のつながりは太い。
第2回公判
弁護側は志摩のアリバイは妻の証言で怪しいと指摘する。妻の税務調査を指示する。
検事は公判から裁判官の忌避申し立てをするが、却下する。高裁に持ち込まれ、外されるのは覚悟している。
第3回公判(最終)
志摩の妻の証言は認められなかった。
次長検事の中森(矢島健一)を証人尋問する。井出検事は中森が国税庁OBの志摩を庇ったと指摘する。当時裁判官だった日高(草刈民代)が証人として出廷する。
みちおは良心に従って証言するように求める。しかし、日高はみちおは裁判官失格だと言う。
日高は記者会見を開き、最高裁事務総局からの指示を忖度して無実の仁科に無期懲役の判決をしたことを認め、辞任し罰を受けることを表明する。
仁科の冤罪が晴れる。
「イチケイのカラス」第8話 あらすじ
みちお(竹野内豊)たちが所属する『イチケイ』に、事務官から書記官になるための研修生として、前橋幸則(渡辺佑太朗)と磯崎由衣(夏目愛海)がやってくる。部長の駒沢(小日向文世)は、合議制で扱う案件があるから立ち会うよう、ふたりにも指示する。
案件は傷害事件だったが、その起訴状を見た坂間(黒木華)と浜谷(桜井ユキ)は驚く。被告人の潮川恵子(真凛)は、坂間が裁判長、浜谷が書記官を務めている窃盗事件の被告人だった。
万引きの前科があった恵子は、再びスーパーマーケットで万引きをして保安員に捕まっていた。恵子の万引きを目撃し、店側に伝えたのは、山寺史絵(朝加真由美)という女性だった。恵子には6歳になる娘がおり、商社マンの夫は海外単身赴任中。恵子は、育児と義母の介護の疲れから軽いうつ状態で服薬していた。
恵子と話した浜谷は、子どもを預ける当てがない彼女は罪を認めて逃亡の恐れもないことから、在宅からの審理がいいのではないかと坂間に進言したという。ところが恵子は、その間に史絵に暴行を加え、加療約1年のケガをさせていた。
窃盗事件と傷害事件が併合されて開かれた第2回公判。恵子は、被害者の史絵が小学校時代の恩師だったことに触れ、4ヵ月前に万引きで逮捕されたときのことは恨んでいないと証言する。史絵にケガをさせてしまったのは、実は彼女が万引きをしたところを目撃し、それを止めようとした際に襲われて抵抗したからだと言うのだ。恵子は取り調べの段階からそう主張していたが、虚偽の発言として取り上げてもらえずにいた。一方、検察の井出(山崎育三郎)は、史絵が万引きをしたという証拠がないこと、そして恵子から暴行を受けた後、市会議員をしている夫の信吾(大谷亮介)に電話し、逆恨みで元教え子に襲われたと助けを求めていることを指摘する。
「イチケイのカラス」第9話 あらすじ
みちお(竹野内豊)や坂間(黒木華)たち“イチケイ”が扱うことになった「世田谷家政婦殺人事件」が、裁判員裁判で審理されることになった。
書記官の川添(中村梅雀)を中心にさっそく裁判員の選任手続きが行われ、その結果、塾講師の大前正一(山崎銀之丞)、結婚相談所勤務の落合清美(池津祥子)、土木作業員の田部公平(山口森広)、主婦の立原理沙子(太田順子)、証券マンの西園寺勝則(永田崇人)、大学生の小中渚(羽瀬川なぎ)の6名が選ばれる。補充裁判員として選ばれたのは、派遣社員の新村早苗(行平あい佳)、「みちおを見守る会」メンバーでもある自由業の富樫浩二(明樂哲典)だった。
事件の被告人は高見梓(春木みさよ)、被害者は桐島優香(八木さおり)。梓は家政婦として桐島家で働いていたが、ある時、柵が破損していることを知りながら3階のバルコニーで優香と争い、突き飛ばして転落させたという。
梓は、転落後もまだ息があった優香をそのまま放置。たまたまやってきて異変に気づいた配達員が救急車を呼んだが、優香は命を落としていた。また優香は、梓に多額の遺産を残すことを1年前に弁護士に書面で伝えていたという。
優香の娘・希美(松風理咲)も見守る中で行われた第1回公判で、梓は、自分は殺していない、あれは事故だと主張。遺産の件も知らないと証言する。
梓は、5年前に火災事故で夫と娘を亡くし、譲り受けた夫の会社を売却して多額の資産を得ていた。
梓の亡くなった娘の心臓は希美に移植されていた。3人で親子のように暮らしていた。
公判で裁判所主導の捜査となる。
優香は夫に殺されそうになり、殺していた。その罪を娘・希美に隠して自殺していた。優香は自殺の前に娘を梓に託していた。梓は優香の願いを叶えるため救急をすぐに呼ばなかった。また希美に優香の罪を隠すために黙秘していた。
梓は自殺幇助罪で懲役1年執行猶予3年の判決となる。
「イチケイのカラス」第10話 あらすじ
みちお(竹野内豊)は、弁護士時代の同僚でもある青山(板谷由夏)と、彼女の母親の多恵(銀粉蝶)に会いに行く。愛犬みちこの弟妹が生まれたからだった。
帰り道、青山は、独立して事務所を立ち上げるにあたって、得意の企業法務だけでなく国選弁護もやっていくつもりだとみちおに告げる。青山は、その国選弁護である案件を担当するため、またイチケイに通うことになる、と続けた。
駒沢(小日向文世)は、レアケースの案件が上がってきたので合議制で審理する、とみちおや坂間(黒木華)たちに伝える。それは傷害事件だったが、被告人が『名無しの権兵衛』なのだという。青山が弁護人を引き受けた案件だった。
第1回公判。どこか飄々とした雰囲気を持つ被告人(板尾創路)は、名前はもちろん、自らの素性を明かすことを拒む。事件は、当時17歳だった被害者の朝倉純(小野寺晃良)の胸部を工具で殴打し、ケガをさせたというものだ。
この事件の背景にあるのは、路上生活者に対する少年たちの投石事件だった。河川敷で路上生活者仲間とバーベキューをしていた被告人は、被害者の純を含む5名の少年たちから石を投げつけられた。少年たちを追いかけた被告人は、純を捕まえて注意をした。
すると、そのことに腹を立てた少年たちは再び投石行為に及び、路上生活者のひとりにケガをさせてしまう。純を探し出した被告人は、もみ合いになった際に彼が持っていたスパナを奪って殴りつけたという。
純は肋骨が折れるほどの大ケガだった。
第1回公判
被告人は否認する。
青山は被告人のアリバイを証明しようとするが証人に出廷を拒否される。
第2回公判
純は被告人に殴られたと証言する。みちおから、起訴事実について間違いはないか、と問われた被告人は、間違っている、嘘だと答えた。そして、自分は嘘が嫌いだ、と純に向かって言う。
みちおは職権を発動し裁判所主導の捜査を始める。
被告人は富山県の無医村の医者で、青山の母・多恵が看護師として仕えていた。無資格医だったため17年前に失踪していた。
第3回公判
多恵が入廷する。被告人は本名を名乗り純の出産に立ち会ったことを証言する。母体は亡くなっていた。純を見つけ出して観察していた。
純は仲間との暴行を拒否し、殴られて倒れていたが、被告人の応急措置で救われた。仲間に脅され嘘の証言をしていた。
みちおは日高(草刈民代)から裁判官の任期は10年だが、問題のある裁判官は再任されないと告げられる。
「イチケイのカラス」第11話(終) あらすじ
裁判官であるみちお(竹野内豊)が、元同僚の弁護士・青山(板谷由夏)と癒着し、無罪判決を出しているという告発記事が週刊誌に掲載された。
みちおを呼び出した日高(草刈民代)は、「地裁の裁判官の任期は10年。任期満了後にはほとんどが再任される。問題のある裁判官以外は」と告げる。
坂間(黒木華)は、日高がみちおを呼び出した理由を知ろうとした。しかしみちおは、カレー店を開くという話だけだったと嘘をつく。
みちおの任期終了まであと3週間。再任は、最高裁裁判官会議の指名により内閣が任命するが、実質的にはみちおと因縁のある相手、香田健一郎(石丸謙二郎)が事務総長を務める最高裁事務総局の決定によるものだった。
坂間や駒沢(小日向文世)は、ゴシップ記事の裏で何か大きな力が働いていると考え、みちおが職権発動している重過失致傷事件を検証し直す。
事件の被告人は大学生の笹岡庸介(菅原健)。自転車競技部に所属する笹岡は、大会に向けて深夜に自主練習をしていた際に、かなりのスピードを出していた上、左側通行を守らず、旅行から自宅へ帰ろうとしていた家族連れと衝突事故を起こす。その事故で、7歳の向井愛が意識不明の重体となっていた。
笹岡は、左側通行を守っていたが、角を曲がる際にライトで視界を遮られ、さらに工事用のガードフェンスがあったために右側を走るしかなかったと主張していた。
だが、検察の調べによれば、深夜に工事を行っていた記録は一切ないという。坂間は、大きな力で真実を捻じ曲げるなら司法はそれを許さない、と言ってみちおへの協力を申し出る。
みちおは、坂間に「この案件が最後になろうとも、僕はいつも通りやるよ」と返す。
道路工事の記録はなかった。しかしこの道路下で崩落事故があって労働基準法の違反を逃れるため闇工事をしている裁判があった。
開発中の大型商業施設につながる地下鉄工事が行われていた。工事を請け負う鷹和建設が違法の過重労働が行われていた可能性がある。衆議院議員の安斎(佐々木蔵之介)が絡んでいた。
みちおは2つの裁判を併合審理とすることにする。
併合審理1日目
本庄昭の母親は違法労働の実態があったと証言した。
鷹和建設側はそんな実態はないと証言する。みちおは次回審理で工事に関わった作業員全員から話を聞くことにする。
併合審理2日目
証言台の作業員は緘口令が敷かれ違法労働を否定する。
本庄昭の祖母・由美子は、昭が工事の遅れを取り戻すために過重労働を強いられていたと証言する。
みちおは職権を発動し裁判所主導の捜査を始める。
併合審理3日目
安斎(佐々木蔵之介)は今回のプロジェクトは日本再生のきっかけになると証言する。違法労働への関与は否定する。
建設会社の人事部長・原口は証言で「安斎が違法労働を指示した」ことを認める。
みちおは両事件とも違法労働が起こしたもので、責任の所在は建設会社にあると判決する。
みちおは上層部の反感を買い、クビになるところだったが、仲間の支援で熊本裁判所に赴任した。
心配する坂間は定期的に視察に行くと言う。
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