建築のこころ アーカイブにみる菊竹清訓展 国立近現代建築資料館
菊竹清訓の建築のこころをめぐって 記念シンポジウム
菊竹清訓に関するシンポジウムが文化庁主催で開催された。
日時:2014年11月30日(日)13:00-16:40(11:00開場)
会場:早稲田大学大隈記念講堂大講堂
Session1「菊竹清訓のこころ」13:15-14:45
穂積信夫(早稲田大学名誉教授)
富永讓(法政大学名誉教授、元菊竹清訓建築設計事務所)
古谷誠章(早稲田大学教授)〈進行〉
Session2「現代・未来への挑戦」15:00-16:30
内藤廣(建築家、元菊竹清訓建築設計事務所)
原田敬美(建築家、元菊竹清訓建築設計事務所)
松隈洋(京都工芸繊維大学教授)
中谷礼仁(早稲田大学教授)〈進行〉
第一部「菊竹清訓のこころ」
穂積信夫、徳永譲、古谷誠章氏
穂積氏は早稲田大学の同級生で、菊竹さんは、学生のときから頭角を表していたこと。構造家の松井源吾氏とは、息の合ったコンビであったことについて。
徳永氏は伊東豊雄氏のピンチヒッター。時の流れに沿って自らを体現化した建築家であったこと。
第二部「現代、未来への挑戦」
内藤廣、原田敬美、松隈洋、中谷礼仁
海上都市、メタボリズム、環境、情報化が話題となった。
エキスポタワー、アクアポリス、グローバル・ループなどは、いずれも単体の建築ではなく、都市を構築するシステムを手掛けた。
エキスポタワーは空中都市、アクアポリスは海上都市のプロトタイプ。愛・地球博では、複雑に高低差のある会場を、巨大な空中デッキであるグローバル・ループでフラットにつないだ。建築家というよりは、シンボルとなる空間のプロデュースを担っていた。
内藤氏は、1977~78年の所員時代の思い出。
―菊竹さんが、「オフィスの使用状況が違うのをセンサリングして、例えば、人の重さの違いによって構造をコントロールできないか」と言ったこと。今のコンピューターでできるかできないかの話だった。
―柱がどんと出る設計をしていると、菊竹さんが、「君、その柱は付けたいのか付けたくないのか」と言う。私が「松井源吾さんの事務所で検討してもらったら、このくらいの太さが必要だという結論になった」と返すと、「その柱をタングステンにしたらどうだ」と言った。
原田氏は建築家の社会的地位向上への貢献について語った。
中谷氏は「京都信用金庫の作品群は、社会共通資本となることを目指していた」と語った。
ゲスト・トーク
菊竹清訓建築設計事務所元所員による。
<第1回>
日時:2014年11月15日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:遠藤勝勧(建築家、遠藤勝勧建築設計室)
<第2回>
日時:2014年12月13日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:原田敬美(建築家、株式会社SEC計画事務所、前港区長)
<第3回>
日時:2014年12月20日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:長谷川逸子(建築家、長谷川逸子・建築計画工房 株式会社)
<第4回>
日時:2015年1月10日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:仙田満(建築家、東京工業大学名誉教授、株式会社環境デザイン研究所)
<第5回>
日時:2015年1月17日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:原田鎮郎(建築家、環境システム研究所)
<第6回>
日時:2015年1月24日(土)14:00-15:00
会場:国立近現代建築資料館
講師:土井鷹雄(建築家、土井鷹雄+アトリエ)
余話
元所員の方が、建築家であった奥様に「2Bの鉛筆の腹」で太い線を引くことを教えられたことを、懐かしく語られた。
回想
恩師の松井源吾先生は、「菊竹さんが駆け出しの頃、奥さまと卵の殻を食べて栄養補給をして苦労していた」という話をよくしていた。
松井源吾先生に連れられて、当時四ッ谷にあった菊竹事務所で開かれたホログラフィーの建築への応用する会合に参加した。ホログラフィーの技術はその後しばらくしてから実用化されたが、菊竹氏の新しい技術への触覚であった。
菊竹さんは、松井源吾賞の初代審査委員だった。授賞式パーティーのスピーチで、「エッフェル塔を設計したエッフェルは、エンジニアでなく建築家として評価されるべきだ」とよく言われていた。
都城市民会館
1966年、宮崎県都城市に竣工した〈都城市民会館〉、メタボリズム建築における代表作。
老朽化のため2020年解体。新会館が開業し放置されていた。