北朝鮮ミサイル東北を通過し太平洋に落下 JALERT誤報

北朝鮮弾道ミサイル 日本列島東3000キロ余落下

    

雨雲レーダー

航続距離4600km

垂直距離1000㎞、航続距離4600kmの弾道ミサイル。

ハワイ島に向かっている。

日本政府関係者

2022年10月4日9時 、北朝鮮から発射されたミサイルは東北地方の上空を通過したあと、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の太平洋に落下した。

発射後、およそ20分間、4000キロ以上飛行し、日本列島の東3000キロ余りの海域に落下した可能性がある。

韓国 ユン大統領

「飛行距離4000キロ程度の中距離弾道ミサイル」
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、北朝鮮が4日朝に発射した弾道ミサイルについて、報道陣に対し「飛行距離が4000キロ程度になる中距離弾道ミサイルが日本を越える形で発射された」と述べた。

そのうえで「北は、わが軍をはじめ、同盟国や国際社会のきぜんとした対応に直面することになる」と述べ、北朝鮮を強く非難するとともに、午前9時からみずからも出席してNSC=国家安全保障会議を開くことを明らかにした。

北朝鮮 ミサイルの発射 ことしに入って23回目

北朝鮮は2022年1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月は1回、8月に1回、先月に3回、今月に1回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に先月下旬から今月初めにかけてはわずか1週間の間に4回と相次いで発射しています。

22回のうち、19回は弾道ミサイルと推定されています。

残りの2回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

直近の今月1日に発射された弾道ミサイルについて防衛省は、北朝鮮西岸付近から2発を東方向に向けて発射したと公表しています。

変速軌道で飛行した可能性があり、いずれも落下したのは日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されています。
Jアラートやエムネットでの情報発信は2017年9月15日以来
北朝鮮による弾道ミサイルの発射について、政府がJアラート=全国瞬時警報システムや、エムネット=緊急情報ネットワークシステムで情報を発信したのは、5年前の2017年9月15日以来です。

このとき、弾道ミサイルは北海道の渡島半島や襟裳岬付近の上空を通過しておよそ3700キロ飛行し、太平洋上に落下したとみられ、政府は、ミサイルの発射と上空通過、それに、推定される落下地点についてJアラートやエムネットを通じて情報を発信しました。

JーALERT機能せず

今回のJ-ALERTは、直接関連のない伊豆諸島に誤配信されました。これは自衛隊が訓練用のデータを消去しなかった為です。

通過した青森県でも発令されたのはミサイル通過後でした。

JーALERT=全国瞬時警報システムとは

JーALERT=全国瞬時警報システムは、防災や国民保護に関する情報を、人工衛星を通じて瞬時に自治体に送るものです。

国からの情報を自治体の装置が受信すると、防災行政無線が自動的に起動して放送が行われます。

また、一部の自治体では、登録すれば携帯電話のメールで情報を受け取ることができます。

システムが作動してから最短では数秒で、情報伝達が可能だということで、現在は、すべての自治体で導入されています。

北朝鮮の国防計画

北朝鮮は、去年1月に打ち出した「国防5か年計画」に基づいて局地的な攻撃に使う「戦術核」や、低空を変則軌道で飛ぶなど探知や迎撃が難しい多様なミサイルの開発を進めています。
北朝鮮ミサイル 過去には発射の約7~10分後に日本上空通過
北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本の上空を通過した過去6回のケースでは、発射のおよそ7分後から10分後に日本の上空を通過しています。

このうち、2017年9月15日のケースでは、午前6時57分ごろ、北朝鮮西岸のスナンから弾道ミサイル1発が北東方向に向けて発射されました。

そして、発射のおよそ7分から9分後にかけて北海道の渡島半島や襟裳岬付近の上空を通過し、発射からおよそ19分後に襟裳岬の東、およそ2200キロの太平洋上に落下したとみられています。

ミサイルの飛行距離はおよそ3700キロと推定されています。

また、同じ年の8月29日のケースは、午前5時58分ごろ、スナンから弾道ミサイル1発が北東方向に向けて発射されました。

そして、およそ7分から9分後にかけて、北海道の渡島半島や襟裳岬の上空を通過し、発射からおよそ14分後に襟裳岬の東、およそ1180キロの太平洋上に落下したとみられています。

飛行距離はおよそ2700キロと推定されています。

北朝鮮 日本上空通過の弾道ミサイル発射 今回で7回目

北朝鮮が日本の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射するのは5年前の9月15日以来で、今回で7回目です。

このうち、前回、5年前の9月と、前々回、5年前の8月の発射は、いずれもミサイルが北海道の渡島半島や襟裳岬付近の上空を通過し、太平洋上に落下したとみられます。

防衛省は、いずれも最大射程およそ5000キロの中距離弾道ミサイル級の「火星12型」としています。

このほか北朝鮮は、1998年8月と2009年4月に東北地方の上空を、2012年12月と2016年2月には沖縄県の先島諸島付近の上空を通過させる形で弾道ミサイルを発射しています。

北朝鮮が事前に予告なく日本の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したのは、今回で4回目です。

北朝鮮をめぐる最近の動き

核・ミサイル開発を加速する北朝鮮に対し、日米韓3か国は結束を示して強くけん制していました。

米韓両軍は、およそ4年ぶりとなった本格的な野外機動訓練を含む合同軍事演習のあと、先月29日までの4日間、日本海で共同訓練を実施しました。

また、先月30日には、アメリカの原子力空母も投入して日本を含めた3か国による共同訓練が、日本海で5年ぶりに行われました。

アメリカのハリス副大統領が先月29日、南北を隔てる非武装地帯を視察し「北朝鮮には残忍な独裁政権と人権侵害、非合法な兵器開発がある」と厳しく非難したほか、韓国のユン・ソンニョル大統領も今月1日、軍の創設記念日の演説で「アメリカとの合同演習をより強化し、北の挑発と脅威に対応する『行動する同盟』を具現化していく」と述べ、北朝鮮を強くけん制していました。

北朝鮮は、先月の最高人民会議で、核兵器の使用条件などを定めた法令を採択し、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が「絶対に核を放棄することはできない」と演説するなど、非核化に応じない姿勢を鮮明にしていました。

韓国の通信社、連合ニュースは、このミサイルが「ロフテッド軌道」ではなく通常の角度で発射されていた場合、飛行距離は3500キロから4500キロ以上に達したと推定され、これはグアムにあるアメリカ軍基地を攻撃できる距離に当たると伝えています。

今回の発射は、ことし1月とは異なり、日本の上空を通過したことから、通常の角度で発射された可能性があります。
航続距離4600km は過去最長で中距離弾道ミサイル以上でした。