能「春日龍神」の事前講座/舞囃子「野守」谷本健吾-銕仙会




 

2019年5月2日 銕仙会能楽研修所@青山

清水寛二があいさつと、前回講座の実技「志賀」の言い訳と当日の舞囃子「野守」の説明をした。

紹介された大谷節子(成城大学)が資料を用いて解説。

「春日龍神」のコードを解く ー幻想の釈迦物語― 大谷節子

講演内容

春日社と神仏習合

舞台となる春日社は、鹿島神宮の代替として奈良に造られたもの。

神仏習合で春日社は、藤原氏の興福寺(法相宗)を守護するようになる。

鎌倉時代から春日社の曼陀羅は、不空羂索観音像が釈迦如来になる。

龍神による奇瑞

作者は善竹。鎌倉時代の話し。

室生寺の龍珠箱に(竜神信仰の聖地)には、八大龍王が描かれている。

ここでは八大龍王は釈迦の化身。

釈迦は白毫(額の中央にある第三の目)から光線を出すと、周りの者は遠くの世界が見える(きずい)。

後半は、奇瑞(きずい)の場を表現している。

質疑応答

Q:明恵上人はなぜ行かなかったのか?

A:インドでは仏教はすたれていたので、行かなくてよかった。当時、その情報があったのかは不明。

Q:龍神の題の意味?

A:元の題名は「明恵上人」だった。龍神は面を着けていなかった。

Q:龍神は化身しないのか?

A:能では釈迦は姿を見せない。
「春日龍神」では、龍神と縁がないシテが龍神に化身しているのが珍しい。
世阿弥にはない構成。

実技ー神々と祝言の関係ー

舞囃子 野守 谷本健吾

春日を守る能「野守」。
ありがたや・・・ から

鬼神が天地の有様を隈なく鏡に映す。

本公演 5月10日(金)18:30- 宝生能楽堂

能 春日龍神(かすがりゅうじん)

前シテ
後シテ

龍神
安藤 貴康
ワキ 明恵上人 大日方 寛
ワキツレ 従僧 御厨 誠吾
野口 能弘
アイ 社人 飯田  豪
     
 
小鼓
大鼓
太鼓
栗林 祐輔
鳥山 直也
柿原 光博
桜井  均
     
地謡 青木 健一 
観世 淳夫
谷本 健吾
長山 桂三
浅見 慈一
小早川 修
柴田  稔
馬野 正基
 

仏跡を訪ねるべく天竺への旅を決意した明恵上人は、暇乞いのため春日明神を参詣する。上人が春日明神に深い信仰を寄せ、明神からも厚く慕われていることを知る宮守は、日本を離れることは神慮に背くと言って上人を説き伏せ、入唐渡天を思い留まらせる。実は宮守は春日明神の告げを知らせに来た時風秀行なのであった。

 やがて春日山が金色に輝き、大地が鳴動して八大龍王が姿を現す。龍王は上人に釈迦の誕生、霊鷲山での説法、入滅の様子を眼前に現すと、猿沢の池へ消えたのであった。

 春日明神の威徳を壮大なスケールで描いた能

付:観世会の事前講座

2018年11月8日@観世会館

春日龍神の講座

解説 講師 横山太郎
受付で配布された謡本を読みながら内容説明。
天竺に行こうとする明慧上人が、春日明神に報告に行くが、思い止まされる。
天竺よりも日本(春日)が最高。

奈良(春日)は、大名を置かず興福寺が担ってきた特別なところ。

ワークショップ

A 素謡 坂井音雅
春日明神の功徳を説くところ。

B 舞囃子 坂井音雅
八大龍王が春日野から飛び去る最後の場面。

家元(観世清和)を交えての鼎談


春日龍神は、金剛流では8龍神が揃って8人出てくる。

観世は一人で8龍神を代表する。それが見せ所。

龍神に人間性が感じられるように演じて欲しい。

切れ味が鋭く演じてほしい。

オーラでなく漂ってくるもの。

NHKが放映した「プロジェクションマッピングの春日龍神」の感想を聞かれた。

舞囃子の後ろに龍の動画が投影されたもの。

これは時代に逆行していると思った。


先代は大阪城ホールのこけら落としで、大観客の前の加茂の舞囃子をした。

その時は、雷光として一線の照明を用いたのは良かった。