能「三輪」の事前講座/舞囃子「葛城」清水寛二-銕仙会







能・観世流の銕仙会定期公演「三輪」の事前講座

能「三輪」の魅力を探る

2019年10月28日 銕仙会能楽研修所@青山

受付で講座の資料(A3、10枚)とチラシ(17枚)が配布される。

司会・清水寛二が「三輪」は秋らしい人気の曲で神道、仏教が関連していると説明した。

講師大谷節子(成城大学)が紹介される。

三輪のコードを解く ー女姿の神ー

大谷節子が白足袋にひざ丈のスカート姿で登場。

配布資料を読みながら説明

玄賓僧都

ワキの玄賓(げんぴん)は平安初期の興福寺の名僧。
遁世の志深く、俗世と交わらず山中の草庵で暮らし果てた。

三輪と伊勢

舞台となる三輪山は、伊勢神宮と一体の聖地。

三輪明神による神楽

天照大神と同一の三輪明神は、教えを受けたお礼に玄賓に神道の秘事「天岩戸を開く場面」を見せる。

キーとなる歌

三輪川の 渚の清き 唐衣(からごろも) くると思ふな 得つと思わじ

がこの作品の主題を表している。

この歌の意味:
能の中で三輪明神は、自らの罪を玄賓に助けてもらうために唐衣を貰う。明神は唐衣にこの歌を書き残し返す。モノはあげたと思ったり貰ったと思うのは不浄であると諭している。

三輪明神は清廉な玄賓から教えを受けようと請願し、それが叶った。玄賓はこの歌から清浄であることが何であるかを教えられた。

仏教と神道はどちらも与え、与えられる存在。

作者は金春禅竹

作者は禅竹の著作から、世阿弥よりも濃厚である。

実技 ー女神の大和舞ー

舞囃子 葛城 清水寛二

鵜沢久のアシライにより上演された。

本公演 11月8日(金)18:00 宝生能楽堂

能 三輪(みわ)

前シテ 里女
後シテ   三輪明神
大槻 文藏

ワキ  玄賓僧都 殿田謙吉
アイ  里人 山本泰太郎

笛  松田弘之
小鼓  観世新九郎
大鼓  亀井広忠
太鼓  小寺真佐人

地謡
鵜澤光 安藤貴康 長山桂三 北浪貴裕  小早川修
清水寛二 観世銕之丞 西村高夫

後見  浅見真州 浅見慈一

大和国三輪山のほとりに隠遁する玄賓僧都のもとに、毎日閼伽の水を供えにやってくる女がいた。女は生き長らえた月日を憂い今日も現れると、夜寒を凌ぐための衣を僧に乞う。女は衣を授かり立ち去ろうとするので名を問うと、杉を目印にして三輪の山もとを尋ねよと告げ、姿を消す。

里人から知らせを受けた玄賓は三輪山へ行き、枝に掛かった衣と金色の文字で記された和歌を見つける。すると木陰より妙なる声が聞こえ、三輪明神が出現し…。

三輪の神婚説話と天岩戸の物語が織りなす神秘の能。

関連リンク:銀座観世会館での事前講座

「三輪」観世会能楽講座 2018年8月28日@東京銀座 観世会館