半導体、日本のシェア8年後にゼロになる予想ー経済産業省

経済産業省が日本の半導体シェアが8年後ゼロになると予想

経済産業省は日本の半導体の世界シェアは2030年にゼロになると予想した(2022年6月「半導体戦略」)。
1988年には世界シェア50.3%を誇っていた日本は現在10%程度。
現在は自給率は27%で台湾(33%)中国(11%)などから輸入している。
日本の消費量は世界の6%。アメリカ25%、中国24%、EU20%に比べ低い。

TSMC誘致は”焼け石に水”の税金投入

政府は日本の半導体産業が国際競争力を高めるため、4000億円の税金を投じて世界最大の半導体会社、台湾積体電路製造(TSMC)を熊本に誘致した。


しかし、TSMCの新工場は10年前の「回路線幅20ナノメートル」で周回遅れの技術だ。
TSMCの熊本誘致には成功したが、日本の半導体復権に寄与するか疑問視されている。リハビリをしているという表現もある。

日本の半導体産業が弱体化した理由

「新しい最終製品を生む力弱くなった」のが大きな理由だ。
テレビ、ビデオの生産が減少し半導体の需要が縮小したからだ。
絶頂期1986年に日米半導体協定(日本市場で外国製品の活用を奨励)が結ばれ、半導体製造メーカーが萎縮した。
さらに成功体験の反動によってリーダーがなくなり衰退した。

半導体産業は川上(材料や製造装置)、川中(半導体)、川下(最終製品)と3つの階層に分類できる。新しい最終製品を生むには半導体メーカーのマーケティングと企画の力が欠けていた。

90年代に入り、米国は官民で日本の含み資産を前提とした資金調達を繰り返し批判した。バブル崩壊や円高も重なって日本の半導体設備投資は92年以降激減した。

日本はエルピーダメモリが12年に経営破綻し、キオクシアホールディングス(旧東芝)もどこまで日本企業として自立運営が可能かが見えない。

日本の半導体技術は世界の先端に比べ3,4周回遅れと言われる。

経済安全保障としての不可欠な半導体

半導体は家電製品、車に使われていて不足すると生産できなくなる。
各国は自国生産の半導体比率を上げようとして国家主導で支援をしている。

日本は6170億円、アメリカは5兆7000億円、中国は10兆円、EUは18兆5000億円を援助している。欧米は東アジアに半導体生産が集中している地政学的リスクを回避しようとしている。

半導体の需要分野

半導体の需要が高まる分野はなにか?

AI=人工知能や5G、データセンターや自動運転などの分野の高度なロジック半導体(=高度な演算処理ができる)

自動運転・VR・ロボット
ゴーグル型の仮想現実(VR)機器や自動運転車を含むロボット分野。
日本は機械や自動車に強いからロボットやロボカーでパソコンとスマートフォンの負けを取り返せる。

AIチップ製造企業は日本以外の調達が前提
米国では現在、最先端の3ナノ製品を作る工場も建設中だ。3ナノといえば、データセンター用の高性能プロセッサーや、20年代後半から自動運転車に載るとされる「人工知能(AI)チップ」の可能性が高い。
「アップルカー」の頭脳も、3ナノの可能性がある。
トヨタ自動車は自動運転車の基本ソフト(OS)を開発する新会社を設立したが、連携するチップの製造は日本以外となる可能性が高い。

データセンター

3D半導体開発で競争に勝とうとしている。

GAFAの金融モデルとの競争

半導体の設計に巨額投資をする「GAFA+マイクロソフト」は車やロボットの頭脳を狙っている。
米IT(情報技術)大手が出てくれば、最大の問題は資金力の差となる。

収益性はもちろん、日米で差がついたのは企業の価値創出力、言い換えれば金融力の差だ。
GAFAもマイクロソフトも株式時価総額は、日本企業と比較するのが無意味なくらいに巨大だ。

アップルの株主還元(自社株買いと配当)は今年、9兆円を超え、過去最高となる見通しだ。マイクロソフト、アルファベット(グーグル持ち株会社)、メタ(旧フェイスブック)を合わせた4社で見ても、その規模は設備投資の1.8倍にもなる。

GAFAの金融モデル
株式市場は資金調達の場ではなく資金を返す場に転じ、株主還元→株価上昇→家計の資産価格上昇と消費拡大→自社の利益増という循環を生む。それがまた有能な人材、技術を囲い込むサイクルをも強める。家計の貯蓄が銀行経由で企業融資に回る、旧態依然とした資金循環ではないのだ。

80年代には逆の風景があった。米国企業は銀行借り入れが中心で、しかも高金利下にあった。日本企業は高い株価を背景に、エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で調達した安い資金を使い、設備投資を繰り返した。その結果が半導体でみられた日本の世界シェア5割、米国3割という業界模様だったわけだ。

まとめ

半導体で負けた日本は、次の主戦場はAI・自動運転・VR・ロボットになる。

半導体大競争時代に突入した。
日の丸半導体の復活には「需要+強力な政府支援or金融モデル」が必要だ。

政府の補助金頼みでなく、民間でGAFAに匹敵する金融モデルを創造しなければならい。