日本の近代建築を支えた構造家たち 国立建築博物館

文化庁国立近現代建築資料館は2018年「我が国の近現代建築に関わる構造資料の概要把握調査」を刊行した。

我が国の近現代建築に関わる構造資料の概要把握調査

主査 竹内 徹 (日本構造家倶楽部)
委員 新谷眞人 (日本構造家倶楽部)
伊藤潤一郎(日本構造家倶楽部)
金箱温春 (日本構造家倶楽部)
小堀徹 (日本構造家倶楽部)
佐々木睦朗(日本構造家倶楽部)
多田脩二 (日本構造家倶楽部)
中田捷夫 (日本構造家倶楽部)
満田衛資 (日本構造家倶楽部)
小澤雄樹 (芝浦工業大学)
川口健一 (東京大学)
原田公明 (日建設計)
安藤顕祐 (日建設計)
浜田英明 (法政⼤学)

初期の構造家としては佐野利器、内田祥三、内藤多仲、坂静雄、棚橋諒を取り上げている。
この第一世代は専門の構造設計者というよりはまだ建築家、大学研究者としての側面を色濃く残している。

1945年の終戦後、高度成長期になると耐震構造の延長線上に超高層ビルを実現した武藤清が現れ、その一方で様々な材料を駆使し多様な構造デザインを実現する欧米型の構造家として坪井善勝、横山不学、松井源吾、松下冨士雄、木村俊彦が活躍するようになった。
この第二世代構造家は大学研究者、企業内研究者、構造設計専門事務所主催者等、様々な側面を持っている。

以上の関東大震災~戦前に活動した構造家を第一世代、戦後~1970年代の高度成長期に活躍した構造家を第二世代とすると、現在は第二世代の教え子である第三世代が1980年以降活躍し、引退を迎えつつある状態と言える。

霞が関ビル

武藤清
耐震計算法を確立し、動的解析法に基づく超高層建築物設計の基礎を築く。大学から建設会社に移り自らの理論を実地に応用し、今日の超高層時代を拓いた。原子力施設の耐震設計は、わが国独自の手法を創始した。

坪井善勝
坪井善勝がおもに丹下健三と組んで世に送り出した数々の巨大な建築物は、高度成長時代を走り出した日本の建築界の牽引役となった。坪井は最先端の研究と構造設計を同時に行い、研究と現場(応用)を直結させつつ、世界の最先端を突っ走っていた。国立代々木体育館は代表作品。

シンポジウム 日本の近代建築を支えた構造家たち ― 残された資料を通じて ー

日時:2019 年 5 月 18 日(土)13:30〜18:30(開場 13:00)
場所:法政大学市ヶ谷田町校舎 5 階マルチメディアホール(入場無料)
主催:日本構造家倶楽部,法政大学デザイン工学部建築学科
共催:文化庁国立近現代建築資料館
趣旨
我が国の近現代建築の発展を技術的側面から支えた構造設計手法や施工法などに関する構造資料は,これまでその概要が調査されたことやアーカイブ手法などについて議論されたことがなく,滅失や散逸の危機にさらされているものと推察されている。日本構造家倶楽部と法政大学は,文化庁国立近現代建築資料館の委託を受け,平成 29 年度よりこれら構造資料の概要把握調査を実施している。
本シンポジウムでは,その過程で得られた明治時代〜1970 年代までの我が国の建築構造を牽引してきた 11人の構造家の残された構造資料を通じて,彼らの設計作品や設計思想が現代にどのようにつながっているのか,現代の第一線の構造設計者たちが迫ることを目的としている。そして,このシンポジウムでの議論を通じて,日本の建築において構造家が果たした役割の大きさとその歴史認識の重要性について啓蒙していく。

プログラム
13:30〜13:50 オープニング
趣旨説明:竹内徹
13:50〜14:35 基調講演
「タイトル」:川口衞(法政大学名誉教授)
14:50〜17:00 11 人の構造家と構造資料
佐野利器 : 多田脩二
内田祥三 : 未定
内藤多仲 : 伊藤潤一郎
武藤 清 : 浜田英明
坪井善勝 : 中田捷夫
(休憩 10 分)
坂静雄・棚橋諒 : 満田衛資
横山不学 : 金箱温春
松井源吾 : 新谷眞人
松下富士夫 : 竹内徹
木村俊彦 : 佐々木睦朗
17:10〜18:00 ディスカッション
モデレータ:難波和彦
構造がどう建築を変えてきたか?

2019年度以降の調査方法の提案

来年度以降の調査方法について。
これまでの調査では,受賞歴などある一定の水準以上のものを列挙した作品年表を作成し,その過程で浮かび上がってきた 11 名の構造家を調査対象としてきたが,今後は我が国における建築構造の現在に至るまでの通史を作成することを念頭におきながら,その過程でリストアップされる構造家や組織,他分野(土木分野など)のエンジニアなど,より広範囲に調査対象者を選定することとした。

その際には,本年度調査で整理された構造形式や構造技術の変遷を,より詳細に吟味
していくことが重要であるため,その作業に注力することとした。構造力学や工学理論
の発展,諸外国の動向,社会情勢などにも注意を向ける。

2019年からの予定

2019年度はこの 2 年で選出されなかった構造家や,現在まだ存命している主要な構造家の作品・技術に関する資料調査および保存準備の検討を開始する。

文化庁国立近現代建築資料館サイト

我が国の近現代建築に関わる構造資料の概要把握調査

関連サイト
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